日常と非日常のあいだで  その参「あなたの夢は?」

 そういえば、鳥越なんとかというキャスターがやっていた30分もののTV番組の企画はケッコー良かった。あの番組では、民放が放送しないような企画を、ちょうど視聴率の高い夕方に放映していたのだが、終わってしまったのだろうか。

 貿易センタービルへのテロ事件、いわゆる「9.11」のあと、その番組が企画したことは、アメリカ主導の報道に隠されたパレスチナの地を取材することだった。インティファーダで投石する青年や子どもたちにイスラエル兵のゴム弾や実弾が情け容赦なく飛んでくる。子どもたちは逃げまどい、あるものは負傷したり、すばやく廃車や壊れたビルの瓦礫に身を隠したりしている。子どもたちと一緒になって、必死に逃げまどいながらも取材を行っているのは、キャスター長野智子さん。長野さんは、このような状況の中、ヒズボラのメンバーやPLOの青年にインタビューしていく。

 長野さんが小学生に上がるくらいのパレスチナの子どもたちに夢についてインタビューする。日本やアメリカで子どもたちの口から出てくる夢といえば、サッカーや野球選手、警察官、看護婦、宇宙飛行士などだろう。マイホーム、マイカー、マイブランド、グルメ。ありとあらゆるものが消費され、満ち足りた生活が子どもたちに無限の可能性と夢を与えるのびのびとしたものだ。しかし、パレスチナの子どもたちは、殉教者になりイスラエルやアメリカに復讐することだと口々に言うのだ。

 貧富の格差は、未来や子どもの夢さえも選別している。自分の死をも夢に託して、この社会への復讐を誓う子どもたちの姿は、大量消費社会という世界市場がもたらしてきた姿そのものだと思う。そして、9.11テロ事件は、豊かさのつけを第三世界に押しつけられた人々の「夢」=アンチアメリカという絶望的表現なのだろう。(S)


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