和解の提案━━最善を尽くすしかない

 鎌田哲哉さんと穂積一平さんが公表された、以下のウェブを読んで、わたしは脳味噌をがつんとやられたような「衝撃と畏怖」をおぼえました。

  http://www.q-project.org/q_kyoto.html
  http://www.oct.zaq.ne.jp/afake908/lets_think/pub/lets_think.html

 わたしはすでにQの会員をちょうど一年前にやめていますが、知人から電話で知らされて、その夜はほとんど錯乱状態に陥りました。鎌田哲哉さんの文章が、わたしのみならずQに関わったほとんどすべてのNAM会員を貶める内容とレトリックをもっていたからです。

 また、伏字だらけで不充分とはいえ、Qの側が情報公開をやったのに対し、NAM資産管理委員会が情報公開する可能性がないことは、去年そして今年と二度繰り返された紛争に、最終的に「道義的にも」やぶれさったということではないか、という気持ちにもなりました。

 しかし冷静になってみると、鎌田哲哉さんの文章は、わたしが去年の9月および今年の8〜10月にわたって徹底的におこなってきたQ攻撃・抗議行動への報復ともとれるものです。また、穂積一平さんと宮地剛さんが行った情報公開は、伏字が多すぎて、紛争当時の文脈での意味がとれないため、不充分といわざるを得ません。

 数日が過ぎ、わたしは平静をとりもどしましたが、その間、どういう対応が最善かということを考えていました。

 さらにQへの攻撃をエスカレートさせる、という選択もあるでしょう。しかし、わたしはそれを望みません。わたしはもうじゅうぶんにQを傷つけました。

 西部忠さんをはじめとするQ幹部に公式に謝罪し、Qに復帰するという選択もあるでしょう。しかし、わたしはそれをも望みません。Qを支持・肯定するということは、看板に偽りありの━━だとわたしは思っている━━「産業連関内包説」を支持・肯定するということになりますが、わたしの疑念や不信をくつがえすに足るだけの理論的・実践的な証明がなされないかぎり、わたしがそうするということはあり得ません。

 わたしは、Winds_qが稼動する前から西部忠さんや宮地剛さん、穂積一平さんらとQを築きあげ、且つ、TQC(東京クールカフェ)やQ講習会など、Winds_q稼動後、Qを普及させるための実践にも深くかかわってきた人間のひとりです。そのすべてではないにせよ、かなりのことをQについて知っています。そのわたしが、いまじぶんは「Qの理念」を信じない、信じることができない、ということを、Qのみなさんには重く受け止めていただきたいと思っています。

 それは何も、偉そうな身振りがしたいからではありません。今後、規約やプログラミングにおいて、Qが長足の進歩を遂げ、「Qの理念」が実現されないともかぎらない━━その可能性があることは承知していますが、「可能性」の議論をしだしたら、きりがありません。Qのみなさんが仮に成功するとしたら、わたしはそれを祝うことでしょう。しかし、いまのわたしは、その可能性に賭けることができないのです。

 それでは、どのような選択が最善の選択でしょうか。何事もなかったかのように振る舞うこと、過去を忘れようと努めることもできます。しかし、わたしはそれをも望みません。過去は消し去ることも、忘れ去ることもできないからです。

 わたしは、人と人として、NAMやQなどといったことを離れて、人間どうしの和解、信頼関係の回復に努めるということが最善の選択だと考えるにいたりました。わたしたちは、もうじゅうぶんにたたかったし、憎しみあったからです。

 柳原敏夫さんは、Qの非人間性を告発し、MAN的(人間的)であれと呼びかけました。いまは、当時の紛争の文脈を超えて、その呼びかけを真摯に受け取るべきときだと、いま人間的であるとは、人間らしさをうしなわずにあるとは、NAMやQといったことがらを超えて、人と人どうしとして、人間どうしの和解、信頼関係の回復に努めることだと思います。

 ところで鎌田哲哉さんの文章では、まるでナチス・ドイツ政権下のドイツ国民のように、すべてのNAM会員に責任があるかのような書き方をしています。しかし、わたしは、そのような主張を否定します。責任があるのは、大部分の情報にアクセスし得ており、且つ、組織としての意思決定に関与し得ていた、ごく少数のNAM会員です。もちろん、わたしもそのひとりです。一年前、Q管理運営委員であり且つNAM事務局員であった者として、紛争を平和裡に解決させるべきだったのに、その努力を怠りました。そのことについて、幾ら批判されても、受けいれるつもりですし、謝罪するつもりです。

 また、NAMがいっていたように「New」でなくてもいいから、斬新でなくてもいいから、現実に国家と資本に対抗する運動に参加していきたいと思っています。もちろん、何ごとかを「散種」しようというような傲慢な態度ででなく、学ぶ者、学びつつある者として、そうしたいと思っています。

 ひとりの人間として、個人として、信頼関係の回復に努め、且つ、資本と国家に実際に対抗する運動だと信じる運動を(自らの能力のおよぶかぎり)していくことが、かつてNAM会員であった者の最善の責任の取り方だと考えます。2003年11月28日現在、わたしはそのような考えのもと、自分の能力で可能なかぎりの活動に参加しています。

 紛争に関わったあらゆる方々への謝罪と感謝を込めて。


攝津正
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