種子は誰のものか:A)種苗法

 1)種子は、生命をはぐくむ神秘なまでのエネルギーの源泉。この種子の遺伝子に遺伝子銃が打ち込まれ、植物の遺伝子に微生物や動物の遺伝子が合体される。このような種の壁を超えた生命の改造に対して、自然はどのようなしっぺ返しをするのだろうか。巨大多国籍化学企業モンサント社は、遺伝子組み換えによって二代目からは発芽しない種子を開発した。ターミネーター・テクノロジーである。この種子を使用すれば、次の年は発芽しないのだから、種子の自家採取は完全に不可能になり、種子企業から買い続ける以外に道がなくなる。「知的所有権」の名のもとに、種子の独占支配が加速しているのだ。

 2)1998年5月、国会で採択され、1998年12月に施行された「種苗法」は、企業によるこのような遺伝子組み換え種子のために、道を掃き清めるための法律であった。大豆、トウモロコシ、なたね、じゃがいもなどの遺伝子組み換え作物や食品の輸入が急増している一方、日本の農林水産省や食品、農業関違企業は、遺伝子組み換え作物の作付け実施を急いでいる。特に農林水産省は、稲のゲノム解析と遺伝子組み換え新品種開発に全力投球している。新「種苗法」によっても、米、麦、豆など穀類の種子に関する自家採取の権利は、“特例”として認められたが、遺伝子組み換え種子に関しては、企業への特許料を支払い、特別の契約を利用者は課せられることになるだろう。

 3)種子は、遠い昔から大地と農民とのエネルギーと英知の賜物、民衆共有の財産であった。今再び、農民による種子の自家採取、種苗交換、種子銀行、在来種という言葉が、人々の間でささやかれ始めた。「種子を制する者が世界を制する」。それは誰か。農民か、それとも独占企業か。


「B)1992年、ブラジル地球サミット」へと続く


田中正治
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