種子は誰のものか:C)種子と生物多様性

 1)「すべての生物には、その個体の成長を促す『成長点』というものがある。葉や茎や根の先端で細胞分裂を繰り返しながら、植物は成長していくのである。環境からエネルギーを吸収しながら成長を続けている植物に、ある日成長の止まる、いや突然植物が成長をやめる日がやってくる。それはすべてのエネルギーを自らの成長のためにのみ使っていた植物が、種の存続、すなわち、次世代のためにエネルギーを使うように変貌する瞬間である。つまり、その瞬間とは、植物が『自分の成長』という個別的な価値から『種の存続』という普遍的な価値への『価値転換を図る時』ともいえよう。まさしく『期を画する』瞬間なのだ。そしてその時に咲くのが『花』である。」(TANET2より)

 2)ある雑誌を見ていると、カラーの強烈な写真が、目にとまった。トウモロコシの写真だ。黄、赤、黒、紫、茶、こげ茶、赤と紫、まだらのもの、小さいもの、巨大なもの。50種のとうもろこしが精一杯に存在証明しているかのように、生命力にあふれていた。アンデスだけでも300種はくだらないそうだ。種はなぜ多様性を求めるのか。遺伝子源の多様性によって種を絶滅から守るというだけでなく、環境適応能力を個体としてだけでなく、種全体として高めようとしているのだろうか。他の種との競争と調和への適応力をつけるためなのか。それとも、種自身の自己組織化のためなのか。いずれにせよ、種の多様性のあるところには、生き生きとした生命の息吹があり、豊かで安定感があり、美しい。


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田中正治
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